PatBaseとエクセルで簡易特許分析-第1回「Tesla Inc.」

佐藤総合特許事務所の弁理士 佐藤です。

簡易に特許分析をすることができるRWS社のPatBaseを弊所でも導入しましたので、注目企業の特許についての簡易分析の記事を書いてみようかと思います。
この分析記事では、とにかく継続することを目的に「簡単にまとめられる」レベル感を重視してささっと書ける記事を書いていこうと思います。
このため、ここでは基本的にはPatBaseの分析機能である「analytics V3」のキャプチャー画面をメインコンテンツにしますが、特許分類(CPC)については自作のエクセルでの集計結果も示します。

初回は何かと上がるあがるテスラ社の電気自動車関連(EV)の特許を見ていこうと思います。

テスラについて↓

テスラ - 電気自動車、ソーラー、クリーンエネルギー | テスラ ジャパン

テスラは、電気自動車や太陽光発電、総合的な再生可能エネルギー ソリューションを提供することで、世界の再生可能エネルギーへの移行を加速させています。

検索式

検索式としては、PatBaseのお任せの出願人検索から、電気自動車とは関係の低い出願人「ソーラーシティ」関連の出願やキーワード"roof tile"の出願(約200ファミリー)を除いた出願の集合にしています。

PA=((TESLA INC or tesla motors inc) not solarcity#) NOT TAC=(roof tile)

簡易分析結果

まずは概要を知るのに簡便な"analytics V3"のダッシュボードで確認します。
(以下の図で細かくて見づらいときはクリックすると拡大できるので拡大して見てみてください)

  • ダッシュボードでは、出願国、年ごとの出願・登録件数、国ごとのステータス、分類フィールドや分類セクターを並べています。
  • 出願は世界的にされており、米国をはじめとした欧中日の主要国での出願が多くなっています。
  • 出願は2018年に最大になっており、大半が係属か登録維持されています。
  • 分類フィールドの3位がコンピュータテクノロジーであり、高いAI技術を持ちすでにかなりのレベルまで自動運転の実装を進めているテスラらしい結果でした。

次に、各国のファミリー、出願、登録件数のグラフを見てみます。

  • 当然ですが、テスラのある米国の数が最大になっています。
  • 中国と日本が出願数と登録数が大きく変わらないなか、ファミリー数が多くなっており、最近の傾向としてより重要市場と見ていることが分かります。

各国の出願について各年ごとに認識されているファミリーの数をまとめてみます。

  • 米国以外では、EPO、中国、日本が出願件数で近い状態であり、自動車の主要メーカの存在する各国(地域)に重点的に権利化されているようです。
  • なかでも、中国の出願は2015年以降に他の2国(地域)よりも多くなってきています。

各国の審査状況を見てみます。

  • 日本では、アメリカに対して「登録数(Granted)」が1/3程度であるのに対し、「更新(Renewal)」がほぼ同数になっています。
  • 逆に米国の取下げ(Withdrawn)が日本に対して25倍になっており、米国での優先権主張していない出願などがかなり取下げされていることが推測できます。

次に他社との関連性を見るために引用関係を見ていこうと思います。まずは、引用数別の上位の出願人を確認します。

  • 引用している特許としては、自社を除くと、ホンダやトヨタが上位に上がっています。続いて、フォードやGMなどもあがっています。
  • 電気自動車の開発は早くから進めている日産自動車の引用数が比較的少ない印象でした。

次 は、被引用数別の上位の出願人を確認します。

  • フォードが最大の被引用数となりました。マスタングEV、マッハEV、F-150ライトニングEVなどで商品投入も進んでいる同社がテスラの技術と近いところで開発をしていることが推測されます。
  • 医療機器メーカーであるエチコンLLC(ジョンソンアンドジョンソンの子会社)が引用数としてはかなり多くなっていることもわかりました(今回は深追いはしないでおきます)。

次は、特許分類としてCPCの付与数上位40位を見ていきます。

これだけだと内容はほとんど分からないので自作のエクセルで分析した結果を見ていきます。まずは上位20位まで

続いて、上位40位まで

  • 最下層のコードでの説明とそれらの上層のコードでの説明を併記することでわかりやすくなっていると思います。
  • 私はテスラ車の構造やビジネスについてはネットの記事やYoutubeで散々見ていますので、それらでよく見るようなキーワードが並んでいることが確認できました。
  • 5位の「電気充電所 [英]Electric charging stations」が目を引いたので、29ファミリーをスクリーニングして概要を確認したところ、充電制御や充電端子に関する発明のようでした。

次に出願から抽出したキーワードのクラスタリングを見てみます。

  • 電気自動車(Electric Vehicle)や電気モーター(Electric Motor)やバッテリーパック(Battery Pack)など重要キーワードが並んでいます。
  • このデータはタイトルと要約から作成しているようですが、CPCで付与されているキーワードとかなり近いものがあげられている印象を受けました。

まとめ

以上で確認した内容をまとめます(ほとんど転記なので特に読む必要はありません)。

  • ダッシュボードで見たとおり、世界的に出願されていること、米国をはじめとした欧中日の主要国での出願が多くなっています。
  • 新しい会社であるためか大半が係属か登録維持されています。出願は2018年に最大になっています。
  • 米国以外では、EPO、中国、日本が出願件数で近い状態であり、自動車の主要メーカの存在する各国(地域)で重点的に権利化されているようです。
  • 国別で見ると中国と日本が出願数と登録数が大きく変わらないなか、ファミリー数が多くなっており、最近の傾向としてより重要市場と見ていることが分かります。より具体的には、中国の出願は2015年以降に他の2国(地域)よりも多くなってきています。
  • 日本では、アメリカに対して「登録数(Granted)」が1/3程度であるのに対し、「更新(Renewal)」がほぼ同数でになっています。逆に米国の取下げ(Withdrawn)が日本に対して25倍になっており、優先権主張していない出願などの取下げがかなりされていることが推測できます。
  • 引用関係では、自社を除くと、ホンダやトヨタが上位に上がっています。続いて、フォードやGMなどもあがっています。電気自動車の開発は早くから行っているはずの日産自動車の引用数が比較的少ない印象でした。
  • フォードが最大の被引用数となりました。医療機器メーカーのエチコンLLCが引用数としてはかなり多くなっていることもわかりました。
  • 分類フィールドの3位がコンピュータテクノロジーであり、高いAI技術を持ちすでにかなりのレベルまで自動運転の実装を進めているテスラらしい結果であることが分かりました。
  • 電気自動車(Electric Vehicle)やバッテリーパック(Battery Pack)など重要キーワードが並んでいます。
  • CPCで見ると、テスラ車の構造などはネットの記事やYoutubeで散々見ていますのでよく見るようなキーワードが並んでいることが確認できました。5位の「電気充電所 [英]Electric charging stations」が目を引いたので、29ファミリーをスクリーニングしてみたところ、充電制御や充電端子に関する発明のようでした。

感想

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

簡単な分析でしたがいかがだったでしょうか?EVで先行しているテスラ社の特許を俯瞰してみましたが、何か気づきなどが得られたところはありましたでしょうか。

本件の深掘りやそれ以外での調査や特許分析などについてのご相談がありましたら、私の特許事務所お問い合わせからお知らせいただければと思います。

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