売上最小化、利益最大化の法則─利益率29%経営の秘密
北の達人コーポレーション代表取締役社長の木下勝寿氏の著書「売上最小化、利益最大化の法則──利益率29%経営の秘密」を読みました。
木下さんは、リクルート勤務後の2000年から北海道の特産品の販売サイトを立ち上げるのですが、いろいろな苦労の末に、北海道の特産物だけでなく独自開発の化粧品なども取り扱うようになっていき、しっかり利益を確保しながらニッチトップ的な成功を積み重ねて、100億円規模の売上げで営業利益率29%という高利益率のビジネスに育て上げられたというお話でした。
正直に言うと、話にでてくる個々の要素は当たり前的な内容も多いのですが、その当たり前を全てきっちりこなしているところが素晴らしいのだと思います。
差別的な見かたになるかもしれませんが、北海道の海産物のようなそれだけで付加価値の高い商品を取り扱っている商店であれば、その商品価値だけでビジネスが成立してしまうがゆえに、経営的な厳しさや理論的な思考を持たずどんぶり勘定でも何とかなるような思考になりやすいのではないかと思うのですが、木下さんはそのような環境でも経営者としてやるべきことを適切に積み重ねることで会社として大きな利益を得て、ステークホルダーにもしっかり利益を分配することを志向しており、人格としても素晴らしいと感じました。
ただ、タイトルについて1点だけ言うならば、「売上最小化」というフレーズについては、最小化するというよりは売上拡大は追わないというだけの意味合いだと思うので読まれる場合には期待されないのがよいかなと思います。
総じていえば、上記①~⑤の経営のポイントについて実例を交えて解説されており、会社の利益率を上げることを考えるうえでコンパクトにまとまったよい経営指南書だったと思います。
以上です。