BEV(Battery Electric Vehicle)の航続距離と車体価格のまとめ

まとめた経緯

6/25の日経の朝刊1面に低価格のEVが増えているという以下の記事がありました。

三菱自動車が低価格EV、価格競争の背景は? – 日本経済新聞

2021年6月25日の日本経済新聞朝刊1面に「三菱自、200万円切るEV」という記事がありました。三菱自動車は200万円未満のEVを2023年度にも販売します。EVの価格競争は、なぜ…

この記事では、8車種の電気自動車(EV)の航続距離が、縦に並べた棒グラフに車体価格が添えられる形でまとめられていました。
新聞の記事では軸は増やしづらいのは分かるしそのグラフでよいと思うものの、データとして見るとやっぱり分かりにくい。
なので、航続距離と車体価格の軸の散布図を書こうと思い簡単に調査し情報を増やしてからTwitterに上げました。

いいね数もそこそこで興味がある人は結構いそうなのが分かったため、BEV市場の全体観の把握とBEV分野での調査の土地勘を付けることも目的として、有償のデータベースなどは利用せず、google検索を使い無料で調べられる範囲で調べてまとめました。

まとめたグラフ

網羅性はそれなりに高いのではないかと思います。画像はクリックで拡大します。

注意点

  • あくまで趣味の一環で作った参考用データなので、へーBEVの価格と航続距離ってこんな感じなんだねーぐらいに受け取ってもらえるとよいかなと思います。このデータを使ってなんらかの損失を被ったと言われても困りますのであしからず。
  • 数字はできるだけホームページやニュースサイトでメモしながら確認したつもりですが正確性は保証できません。上記の通り全体観を掴むために作ったので今回はデータの正確性よりも網羅性に重きを置いてまとめたためです。また、車体価格は為替や補助金により金額は変動しますし、航続距離も評価方法でずいぶん変わるようなので、これらの数値は参考値として取り扱ってください。
  • 中央の破線はエクセルでの単純な直線近似です(y=0.2195x+282.69)。
  • 誤記とかあったら訂正するつもりはありますのでTwitterの方に報告お願いします。

結果(というか感想)

  • グラフの左上が費用対効果(航続距離)でコスパがよいという見かたになりますが、右に行くほどラグジュアリーブランドになったり、左下の宏光MINI EVみたいに安価でよく売れている車もあり、どっちに行けばいいというものでもありません。とはいえ、中国メーカーはやっぱり安くて航続距離が長いですね。
  • 900万円を超えるラグジュアリーカーの世界ではオプションとかグレードでどんどん値段は上がっていく感じで2000万円などのものもありましたが、グラフが間延びするのでプロットしませんでした。
  • 全体を見ての感想としては今後のビジネスの中心は「航続距離が400kmで車体価格が500万円」あたりになると予想します。そのうえで今後は大衆車は左下に寄っていき高級車はに寄っていくのかなと思いました。
  • 色々調べているなかで航続距離は400kmも本当にいるの?っていう疑問も芽生えてきました。いわゆるガラケーからスマホに変わった当初はスマホの連続待ち受け時間などもセールスポイントになっていましたが最近はあまり気にしなくなったように感じます。これと同じようにEVでも顧客が慣れてしまえばあまり航続距離についても気にしなくなるのではないかと感じました。むしろ充電時間が短い方が使い勝手が上がるとか、充電の手間が面倒でEVからガソリン車に戻すという話もあり、今後の遡及ポイントは充電時間や手間などにシフトしていくのかなと思いました。
  • 上のツイートのリプライで電池の種類もまとめて欲しいという意見もあったのですが無料の調査だと無理っぽいです。ごめんなさい。有償のサイトとかで見たら分かるんですかね?

データ

上のグラフでは製品名車体価格航続距離しか載ってないので今回調べたデータ表も置いておきます。この表ではメーカ名航続距離の評価方法電池容量も載せていますので、併せてみてもらえればよいかと思います。出典も載せたいのですが数が多く貼るのが大変なので気になるところがあったら教えてください。適宜追記したいと思います。

メーカ名製品名車体価格
(万円)
航続距離
(km)
評価方法電池容量
(kWh)
注記
audie-tron GT quattro1399534WLTC84 
audie-tron 50 quattro933335WLTC71 
BMWi3505360WLTC42.2 
BMWiX 501373630WLTC111.5初回生産モデル
BYDe2199401 43.2 
BYD255535 53.22 
BYD秦ProEV超能版375650 69.5高出力高航続版
ChevroletBolt EV382417EPA602022年モデル
CheryeQ180200EPA38 
Fiat500e356285EPA42 
FordF-150 Lightning591368EPA 価格はXLT
FordMach-E479491EPA  
GAC New EnergyAion S228510NEDC  
Great Wall MotorOra BlackCat120300 30.7 
HyundaiKona EV475480 64 
HyundaiIoniq 5 Long756480WLTC72.6 
JaguarI-Pace959438WLTC90 
Kiae-Niro477450WLTP64英国補助金適用後
KiaSoul EV500450WLTP64529万円より安くなるはずとのこと
MercedesEQC1080400WLTC80 
MercedesEQA250640422WLTC66.5 
Nioes6795429NEDC70 
Nioes8781415NEDC100価格は1世代前の可能性
Peugeote-208 Allire389296 50 
PorscheTaycan1203431WLTP79.2 
RenaultDacia Spring226230WLTP27.4 
Renaultzoe386383WLTP52英国補助金適用後
SAICMG ZS EV400262WLTC44.5英国補助金適用後
Teslamodel 3 long519580WLTC79.5 
Teslamodel 3 standard439448WLTC54 
TeslaModel S long1070610WLTC100 
TeslaModel X long1170580WLTC100 
Teslamodel Y standard440390EPA  
volvoC40 Recharge614420WLTP78 
VWID.3475420WLTP58 
VWID.4615520WLTP77限定仕様車
上汽通用五菱汽車宏光MINI EV60100 9.3正極Fe
トヨタC+pod165150WLTC9.6 
日産アリアB6660430WLTC66限定仕様車
日産アリアB9790610WLTC91限定仕様車
日産リーフ332320WLTC40 
日産リーフe+411458WLTC62 
ホンダホンダe451283WLTC35.5 
マツダMX-30EV451256WLTC35.5 
三菱Minicab-MiEV200150JC0816 
レクサスUX300e635367WLTC54.4 

Rimac社のNeveraも調べてみた(2021/7/6追記)

今日の日経の記事でブガッティを傘下に収めたと報じられたクロアチアのRimac社のNeveraもEVということで調べてみると価格は£2,000,000(3.074億円)ということです。
性能的にはバッテリー容量が120kWhで航続距離は550km(WLTP)とのこと(wikipediaより)で、航続距離はID.4よりも若干長い程度で、バッテリー容量はiX50よりも少し多いぐらいなのでそこだけ見ると特筆すべき性能ではありません。
しかし、下の動画で6千万円するPHEVのフェラーリSF90を易々と引き離していくところを見るとピュアEVの可能性を感じざるをえないと思いました。

折角なので先のグラフにNeveraのプロットしてみると…

なんというか別次元ですね。上でいろいろ検討していましたが無意味に感じてしまうような世界です。
確かにNeveraは世界一加速が速い車ということでそれ自体は付加価値があると思うのですが、それに3億円の値段が付くというのはお金もあるところにはあるんですね。
Neveraについて調べてみて、世界の超富裕層をターゲットにしているであろう超高級EV市場という存在を知れたのは収穫でしたし、この市場でもアイデアやブランディング次第でビジネスの可能性は結構あるのではないかと思いました。

以上