発明の名称に含まれる発明を集計するツール

今回の記事では、以前作成した「特許出願における発明の名称の記載から、含まれる発明を抽出して集計する」ツールを紹介します。

特許出願に含まれる「発明の名称」の項目では、特許請求の範囲に記載した発明が複数あるときには「および」や「または」といった接続詞でこれらを接続して記載することがあります。

このツールでは、発明の名称のリストを貼り付けると発明の名称を接続詞で発明に分割して、その発明の名称でされた出願件数を集計します。


ここでの処理をもう少し詳しく説明すると、

①の列に貼り付けられた発明の名称について、
②で(指示代名詞で記載された発明を補いながら)接続詞などに基づき分割して、
③でこれらを1列にまとめ、
④でユニークなものを抽出し、
⑤で件数が多い順に発明をリスト化しています。

このような集計をすることで、調査の段階でいえば、検索母集団においてどのようなカテゴリの発明がどのような表現で記載されているか確認できるので、検索式の作成において検索キーワードや特許分類の検討に役立てることができます。
また、権利化の段階でいえば、他社出願などでどのようなカテゴリで権利化しているか確認して自社での権利化方針の参考にしたり、権利の記載をする際の参考にすることができます。
さらに、分析の段階でいえば、発明の名称と出願人との対応関係を確認したり、発明の名称と特許分類を掛け合わせて分析するためのデータ化に役立てることもできます。

また、このツールでは、1つの出願で複数の発明が記載されている場合には全てを分けて集計しているので、1つの出願における複数の発明の共起関係も確認することができます。例えば、電池であれば「電極」と「電池」とか、「バッテリーパック」と「セル」のような関係について1つの出願でいずれも規定しているか、いずれかだけを規定しているか?というような疑問についても確認することができます。

なお、別に公開しているJ-PlatPatのCSVの自動集計ツールでは最初に記載されている「筆頭発明」だけを集計していますが、上述のツールでは全ての発明を分割して集計している点では高性能ともいえます。

今なら、1つの式で全部の処理を行える数式を書けるので非効率な仕組みのような気もしますが、こんな方法もあるんだなと思って見てもらえればと思います。

今回の記事は以上です。

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