中国のYMTCが米国のマイクロンを訴えた特許についてまとめた件
今回の記事では、YMTCがマイクロンとその子会社を米国で訴えた特許についてまとめた入口情報について紹介します。
具体的には、中国のNANDメモリメーカであるYMTC社が自社の保有する8件の米国特許に基づいて、米国のメモリメーカであるマイクロンと子会社を米国で訴えたというXのポストを見かけたため、そのポストを見かけた2023/11/12に私が追いかけた範囲の情報をまとめたものです。
また、以下の情報は、本件を検討するための事前情報として活用いただくことを想定して提供しており、詳細な検証を行っておらず間違いが含まれる可能性もあります。このため、SNS、ブログ、ニュースメディア等での引用などの二次配信はご遠慮ください。
前置きは以上にして本題に入ります。上記の訴訟の情報についてまずgoogle検索で調べると、Justiaの以下のような記事が見つかります。
この情報をみると、「Ex. 1 – US10950623, #2 Ex. 2 – US11501822, #3 Ex. 3 – US10658378, #4 Ex. 4 – US10937806, #5 Ex. 5 – US10861872, #6 Ex. 6 – US11468957, #7 Ex. 7 – US11600342, #8 Ex. 8 – US_10868031」という記載があり、ここに記載された番号が対象の米国特許のようにみえます。
そこで、これらの特許をLens.orgで調べてみます。検索結果は以下のリンクから確認できます。
以上の8件に付与されている特許分類をLen.orgの分析機能で確認すると以下の通りです。
これらについて機械翻訳をすると以下のようにGセクションとHセクションに関する出願であることが分かります。
特に件数の多いCPC分類である「H10B43/27」についてLens Explorerで確認してみるとNANDメモリで情報の記録を担う電荷トラップゲートの3D配置に関する発明のようです。
なお、H10のクラスは[2023.01]の新しい分類のためか、IPCでは付与されていないようでした(1つ上の画像参照)。
また、上記8件の米国出願についてファミリー文献を確認すると116件の文献がヒットしました。これらの文献については以下のリンクから確認できます。
この検索結果の出願傾向を分析機能から確認すると、各国での発行文献数を確認することができます。すなわち、米国では31件の文献が発行されており、次いでYMTCの本拠地のある中国で23件、日本でも13件の文献が発行されているようです。この結果、本件特許については日本にも権利が及ぶ可能性もあるのでYMTC社が日本でも何らかのアクションをとる可能性も考えられます。
以上、YMTC社の出願について簡易に分析してみましたが、無償で誰でも利用できるLens.orgでも出願技術分野や出願国といった権利を検討するうえで特に重要になる情報は簡単に分析できることがわかっていただけたかと思います。
今回の記事は以上です。
弊所では以上のような案件の深掘りなど個別の分析プロジェクトについても対応可能です。ご相談などありましたら管理人の特許事務所のページからお知らせください。
よろしくお願いします。